国土の大部分は、平坦な砂漠地帯であるドバイという地において、最も安易に安価で手に入る建築材料は砂漠の砂です。地場の自然素材しか使えなかった時代には、風土に根ざしたその土地固有の建築が造られ、それがその土地固有の風景を生み出していました。このセレクトショップでは、その砂を左官材として空間全体に使用しました。
現代のマテリアルといえるハイテック樹脂を用いた半透明の什器と現地の建築で最もプリミティブな砂。
未来の素材と根源の素材との調和、相反する素材の組み合わせから生まれる力は、アバンギャルドな主張を前面に出すことができたと思います。
未来と根源の調和、相反するものから生まれる力・創造、完成されていない荒削りなもののみが放つ強さは、より光を放ち、強いメッセージを表すことになると思います。
砂壁(左官壁)は、塗りによって層を重ねていきます。しかし、絶対的な約束事はほとんどなく、塗り回数を増やしたり、減らしたり、手間をかけたり省略したり、途中で仕上げをやめておくことも勿論可能です。重ねて塗ることが容易なため、砂絵などの模様や、二色に分けて模様を付けることも可能です。つまり、砂壁は永遠に未完成なものであり、だからこそ美しく、強い光を放ちます。
ファッションは変化するものであり、変化していくからこそ魅力があると思います。砂壁も同様、随時、破壊と構築を繰り返すこととなるでしょう。
- 業種:メンズ・レディスアパレルショップ
- 住所:ドバイ
- 広さ:40.99坪