軽井沢山中、約3000坪の傾斜敷地の頂、標高1200mに建つカフェである。
オーナーやそのゲストが不定期に利用する居住部も付随している。
まさに天空といえるその地からは軽井沢の街を眼下に、晴れた日は遠くに南アルプスや八ヶ岳を望むことができる。
その雄大な眺望をドラマチックに取り込むこと、イベントのできる庭を設けること、それらを楽しみながらゆったり過ごせるプライベート感あふれる空間にすることをクライアントから求められた。
先ず、居住部分は視線の向くべき方向を軽井沢の街の方向に定めつつ、地形になじむよう等高線に沿わせることにした。地表に身体を近づけることで落ち着きや安心感を得られるためだ。
カフェ部分は最良の眺望を得られる空間にするため、現地にやぐらを設営し配置や高さ関係の検討を重ねた。結果、居住部分に対し「く」の字を描くような角度を見出した。これは庭に求心性をもたせることにもつながった。
ほぼ最大制作サイズのペアガラスを用いた店内客席からは、キャンドルイベントや、コンサートが行われる庭とともに遠くの山々をパノラマ状に見渡すことができる。夕暮れ時から刻々と空の色が変化し、暗くなれば星空が美しい。そのためガラス面への映りこみが夜景を阻害しないよう、照明はピンスポットライトとし、ガラスへの映りこみを減らすため壁の一部を黒色とした。
斜面に対し水平に伸びたカフェ部分の先端は、はねだしのテラスとすることで地表から解放し天空の浮遊感を表した。カウンター席からは目前の山が迫ってくるような感覚を得られ、店内とは異なる眺望を楽しむことができる。
- 業種:カフェ
- 住所:長野県北佐久郡軽井沢町
- 大字軽井沢字深古屋1369-51
- 広さ:約41.52坪