「山と空の間」
株式会社七葉は「抹茶」という切り口から、「新しい日本のカタチ」を世界に発信している会社である。
良質の抹茶を、抹茶ラテなど現代的にアレンジしたメニューで提供している。
そして、その店内に求められる空間は「和風」ではなく「現代の茶室」である。
それは、オーナーの言葉を借りれば"日本に昔からある茶文化を現代的な解釈で楽しめる店"をつくりたいという思いの表れである。
岡山県には日本三大名園と呼ばれる後楽園がある。
後楽園とは、岡山藩二代目藩主池田綱政(いけだつなまさ)が藩主のやすらぎの場として作らせた庭園である。
園内に点在する建物の座敷から、眺望を楽しむという要素の強い庭であり、時代ごとの藩主の好みや社会事情によって景観が変化し、その積み重ねが歴史となっている。
通常の借景は、庭に面して構えられるが、後楽園の茶室は、園外にある操山をまるでこの庭の景色であるかのように取り込んでおり、庭園の明るく広々とした景色に山々が加わり、奥行きのある庭を演出している。
そこで、今回のnana's green teaアリオ倉敷店では、山並みの借景を店内に取り込むことを提案した。
実際には、床から出ている山並みは間仕切りとして機能し、天井より下がっている空気感を切る間仕切りは、山並みによって切り取られた空を表現し、両者が合わさって「山と空の間」を作り出した。
- 業種:カフェ
- 住所:岡山県倉敷市寿町
- 12-2
- 広さ:33.4坪
- 座席数:50席