駅の改札を抜け、地上に出ると潮の香りが漂ってくる勝どきエリア。近年開発が進み、綺麗に整備されつつある一方で、下町の雰囲気が色濃く残るエリアです。
この街に、お店を構えるのは居酒屋「 裏照ラス」さん。気さくで親しみやすい人柄のオーナー様からのご依頼です。
今回、この街に添いながら、人懐っこく長く地域に愛されるような存在になれればという思いでお店づくりを進めていきました。
店舗全体のイメージは、懐かしみを感じる和と縁日の賑わいをベースにしています。
木を基調とした温かみのある店内。対照的に天井と床は黒にし、照明がついたときに、木の持つ素材感が一層引き立てられ、いつかの祭りの夜の雰囲気を演出しています。
一見すると、シンプルにも見えるデザインですが、味わいあるポスターや、手書きメニューが飾られると、一気に空間に表情と立体感が。
撮影のこの日は、夏祭りの装飾がされており、こうした装飾がされることで、お店のもつ「らしさ」が活きてくる内装デザインであると実感させられます。
縁側をイメージした入り口のテーブル席やカウンター席に配置されている長椅子も、時間を気にせずゆったりくつろげる空間です。客席を一挙に見渡せる開放的な厨房は、店内の様子を伺えるだけでなく、料理をいまかと楽しみにしているお客様への心踊らせる演出のひとつ。まるで祭りの屋台のように、今日のおすすめなに?と気軽に聞けるほど、お店とお客様の会話を自然に生み出す、ほどよい距離感のレイアウトとなっています。
ファサードは古民家をイメージしたデザイン。杉板の下見張りで壁面をつくり、木製の引き戸を採用し、親しみやすい店構えに。さらに、扉に取り付けられた縄の暖簾が力強さと昔の和な風合いを表現してくれる役割を果たしています。コンクリートの建物が立ち並ぶ中、その立ち並びに突如として現れる古民家風の出で立ちは存在感を与えながらも、どこか街並みに溶け込んで見えるのは、この勝どきエリアが持つ下町の雰囲気と合致しているからこそ。
オーナー様の人柄のように、どこか親しみやすさと懐かしさを感じられる、「人懐っこい下町の居酒屋」に仕上がりました。
- 業種:居酒屋
- 住所:東京都中央区勝どき
- 3-4-15 勝どき3丁目ビル1F
- 広さ:12.7坪