おしゃれなカフェや飲食店が立ち並び、常に流行の最先端が集まる街、青山エリア。一歩路地に入れば、静かで緑豊かな街が広がり、ぶらぶらと周辺を歩けば、外国人とよくすれ違うことに気づく。
この国際色豊かな街に「GLOCAL CAFE」さんがオープンしました。
もとは多くの辞書を取り扱う三修社さんの書籍を展示するスペースのカフェのご依頼から始まった今回は、単純なカフェでは面白みに欠けると、お客様とともにコンセプトの方向性を検討しながらのスタートでした。たどりついたのは、「この青山の地域とさまざまな国をつなぐ空間づくり」。「つなぐ」をキーワードに、内装デザインを計画していきました。
今回最もこだわったのは、可変性のあるレイアウトです。個人で利用できるスペースだけでなく、様々なイベントやセミナーを通して異文化交流できるスペースも確保できるように、効率的なレイアウトを検討しデザインしています。
店内の入り口側には、コーヒーやビールなどを提供するカウンターを中心として、物販コーナーを配し、奥はゆったりとくつろげる客席で構成。入り口部分の物販コーナーと壁一面にディスプレイされた書籍で興味を惹かせ、自然と奥へと流れる動線としています。コミュニケーションが自然に生まれるような空間にすることを意識した内装デザインは、少し荒っぽいクラフト感のある木材をセレクト。テーブルの脚や小口などにはアイアンを取り入れ、インダストリアル感とスタイリッシュさをもたせることで、程よいカジュアル感、ラフ感を表現しています。
奥のスペースは、パーテーションを使用すれば、ひとつの個室空間へと変化。可動式のプランターボックスや、小さなテーブルを配することで、可変しやすいレイアウトになっています。メッセージを発信することの出来る壁面の裏には、スタッフルーム兼控え室が設置され、そこに部屋があることを意識させないほど一体化した空間。白で塗装された露出天井もまた、細長い平面の空間に上下の広がりが加わる要素となり、開放的な空間を生み出しています。
天気の良い日には、テラスでの利用も可能。入り口の扉を開放すれば、心地よい風が流れ、外と中の空間をつなぐ開放的な入り口に。ディスプレイされたグリーンも全体に使用している木の素材感とマッチし、都会にいながらもオアシスを感じられるような雰囲気をつくりだしています。まるでこの青山の街の雰囲気そのものがこの空間の中に表現されたお店。さまざまな人とすれ違い、会話が生まれるきっかけとなる、まさに地域と人々がつながる場のお店へと仕上がったと思います。
- 業種:カフェ兼イベントスペース
- 住所:東京都港区北青山2
- -10-29 日昭第二ビル 1F
- 広さ:37.64坪