レトロな電車に揺られ降り立った駅は松陰神社前駅。駅前には昔ながらのお店と最近オープンしたばかりと思われるお洒落なお店が軒を連ねる商店街。都内であることを忘れるくらい、のんびりとした時間が流れるこの街は今注目されているスポットのひとつです。商店街をしばらく歩き大通りに抜けると、目の前には吉田松陰が祀られる松陰神社の立派な鳥居の姿が現れます。松陰神社に隣接する若林公園からは賑やかに響く子供たちの声。なんとなくその声に導かれるように、ゆっくりと公園の方へ歩いていくと、公園の向かい側に少し異空間を感じさせるお店を見つけます。お店の名前は「ゴーダカフェ」。今秋、西インド地方の料理をメインとして提供するカフェ&スパイスバルのお店がこの街にオープンしました。
お店づくりをおこなう上で大切にしたのは、異国情緒を感じられながら、この街に寄り添うお店。店内は、木目を基調とし、壁にエスニックなモザイクタイルを施し親しみやすさを感じさせるカフェっぽさと、照明の演出によって、バルのような雰囲気を与えています。インド色は抑えたいというご要望も受け、色鮮やかなデザインを散りばめつつも、落ち着いたカラートーンによって、程よい賑やかさと落ち着いた雰囲気の両方のバランスがとれた空間デザインを目指しました。
お店正面の大きなガラス面を生かした窓際の席は、目の前に広がる若林公園をぼんやりと眺めてゆったりと過ごせるこちらのお店の特等席。一方でオープンキッチン側のカウンターはオーナー様と楽しく会話が弾む席。部屋の中央には友人など複数人でも楽しめる席を設けました。間仕切りがない分、席と席との距離感にも配慮し、居心地良く人の気配を感じさせてくれる距離感でレイアウトしていきました。
床は既存のまま、カウンターの立ち上がりの部分にはモルタル風の塩ビタイルを使用し、コストを抑えながらポイントで質感を楽しめる素材をセレクトしました。部屋の中央にあるカラフルな瓶のランプシェードは、DIYしたもの。その他にもご近所の方や知り合いから譲り受けたユニークな小物たちが店内にディスプレイされており、人との繋がりを大切にされるオーナー様の人柄が感じられ、来店された人々の心をほっこりと和ませてくれます。
さりげない異空間を感じられつつも、以前からもこの街にあったような。この街のようにゆったりとした時の流れと人の温かさを感じさせてくれるお店に仕上がりました。
- 業種:カフェ&スパイスバル
- 住所:東京都世田谷区若林4
- -30-9 グリーンハウス1F
- 広さ:18.9坪