職人のオーラを感じさせながら、気難しさはなく丁寧でむしろ親しみを感じさせる店主。国内外問わず名店レストランやホテルで約30年ほど腕を磨かれ、お子様が産まれたタイミングで仕事のスタイルを変えるため独立を決意。今回ご縁があってお店づくりをお手伝いさせていただきました。場所は地元である目白にて。「気の利いた隠れ家的なお店」をコンセプトに、高級感がありながらも温かみ溢れるお店づくりを目指しました。
最もこだわった檜カウンターは、実際に銘木店に店主と足を運び、選んだものです。運よく、理想のかたち、サイズそして値段にはまったものを見つけ出し、それをお店の顔として空間デザインを組み立てていきました。カウンターバックは左官施工で質感によって気品のある空間を演出。全体の色味を統一し、極限までシンプルに仕上げ、ショーケースに並べられたネタや、手元に運ばれる料理の品々が映えるデザインとなっています。
お店には、カウンター席の他にも商談等にも使用できるよう、個室も完備しています。コンパクトかつ縦長の区画のため苦労したレイアウトは、最小限の動線を確保し、窮屈さを感じさせないよう配慮していきました。入り口の扉を開けて、入った時に店主の姿が垣間見える様は、来店されたお客様に安心感と高揚感を与え、その狭さゆえに生かされたデザインと言えます。
落ち着いた濃いグレーの左官に、格子からこぼれる光とのコントラストが目を引く店構え。「鮨あさづま」の文字は店主の直筆。そこに落款印のように添えられているのは、お子様の手形です。
凛とした佇まいが料理への誠実な思い、温かな光は家族や人を大切にされる思いを映し出しているかのように、そこから醸し出される雰囲気に、きっと多くの人々が魅了されることでしょう。
- 業種:鮨店
- 住所:東京都豊島区目白3
- -14-18
- 広さ:10.6坪