「欧風食堂ペパン」様は、食材の産地にこだわった、フレンチをベースとした小さな洋食店です。お店の名前の「ペパン」はフランス語で種という意味。オーナー様のご出身である秋田県"三種町"の地名と、そのふるさとへの想いを込めてつけられた店名です。オーナー様と弟様、そして奥様のご家族でお店を開かれるとお聞きし、ご家族みなさんの気取らず、ほっこりとした人柄を反映したお店づくりを目指しました。
場所は亀有。亀有駅から亀有公園を通りすぎ、少し通りを歩いていくと温かい明かりが灯された、和を感じさせる建物が見えてきます。この和風の外観も気に入って、こちらの物件に決めたというオーナー様。今回のデザインプランを検討するにあたって、和と洋の調和が重要な鍵でもありました。はじめは、和の要素が強い外観に合わせ、和の門構えでデザインを検討してみるもなんか違う・・。試行錯誤を繰り返し、それならばと思い切って洋に寄せたデザインを検討していくと、しっくり来る感覚。その感覚を定めて、シンプルで落ち着いた洋のデザインをベースに外観をつくりあげていきました。
店内に足を踏み入れると、やさしく木のぬくもりを感じる、和と洋がうまく織り交ざった空間です。奥にあるカウンターは、オーナー様のこだわりで、秋田杉を使用。杉の繊細で綺麗な木目のカウンターは、さらに料理を引き立ててくれます。
カウンター製作の際に出た杉の端材は、カットしてメニューボードに。ふるさとを愛する想いがストレートに伝わるアイテムです。
テーブルはご家族でDIYされたもので、カウンター席とはまた違ったぬくもりを肌で感じることができます。一方で、全体の空間がまったりになりすぎないよう、椅子の張地や、カウンター下のタイルなど、アクセントにもなりながら品のあるカラーをチョイスしていきました。入り口横の窓は、電車の小窓をイメージしており、その窓から覗くと見える丸い外灯や通りの眺めが気持ちをおだやかに落ち着かせてくれます。窓から差し込む陽の光のタイミングによっては、入り口のペパンというサインの影が店内の白い壁にうっすらと映りこみます。実は想定外だったことで、まさに種を撒かれているかのように、偶然が必然となったデザインになりました。
「このカウンターいいですね」「秋田杉をつかっているんですよ。出身が秋田なので」「へ~。ところでお店の名前はどういう意味ですか?」「フランス語で種という意味。三種町っていう秋田の町が地元で・・・」
話の"種"から、花が咲き、亀有の町に長く根付くお店となりますように。
- 業種:洋食店
- 住所:東京都葛飾区亀有5
- -41-8 椿苑1F
- 広さ:11.54坪